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2008年 11月 02日
春日井 健 2
引き続き「未青年」より
奴隷絵図 胎壁に胎児のわれは唇(くち)をつけ母の血吸ひしと渇きて思ふ 若き母夢みしわれの朝ふかく李朝の壺に揺るる藤の房 喉しぼる鎖を父へ巻く力もつと知りたる朝はやすけし 火祭りの輪を抜けきたる青年は霊を吐きしか死顔をもてり 鬼ごつこの鬼の子の父を愛しゐて追はれゆく花壇の血のいろの花 雪炎 灰いろの霧の餌食となる夜を影より淡く人はさまよふ 火の罠をつくるライトの中に立ち青年狂ほしく楽を指揮する 膝つきて散らばる硝子ひろはむか酔漢の過失美しければ 他人を抱きし腕を河面にひたすとき緋いろの月のにじむ水照り 雪やまず窓に氷花の青白き夕べ着ぶくれて母は華やぐ みひらきて凍れる夜気を吸ひおれば眼は氷穴のごとき深淵 弟子 石膏のつめたき筒をぬくめゆく若く愛されやすき両脚 武骨なる男の斧にひきさかれ生木は琥珀の樹液を噴けり 火柱像 蒼き尾をみづから焼きて流れたる星の夜更けも匕首を研ぐ 電飾のけむれる街をさまよへり無垢なる日々の記憶は消えよ 「匕首」は「あいくち」と読んで短剣のことらしい。
by npapapapa
| 2008-11-02 22:19
| 鑑賞
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