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番外札所

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4. 昼食

11時半、内宮前バス停着。
混み合う前に昼食をとる。

土曜日ということで、
内宮への参道「おはらい町通り」には人がごった返していた。
しゃれた和食店を見つけて入る。

注文を終えた後、私はさきほどのムカムカについて考えた。

 ではもし、あれらの宝物が一切無かったら...?

それはそれで、ひとつの自然崇拝の姿としておかしくないように思えた。
ただシンプルに自然を崇め、自然とともに生きる。
凝ったものは作らない。
食べ物も、狩猟・採取・栽培して極簡単な調理だけにとどめる。
仙人のようにあるがままに自然の中に身を委ねて生きる。

そういう生き方もあると思うし、実践している人もいるだろう。
では自分はそうしたいか?
多くの日本人はこれまでそうしてきたか?

否。

職人も料理人もみな、訓練して腕を磨き、
より美しいもの、人を感動させるものを追求する、
それこそが日本人が目指してきた、人間らしい活動ではないか。

豊受大御神は、天照大御神の食事を司る神様だが、
同時に衣食住の神様であり、産業の神様だという。

あの美しい神宝たちは、単に神様を喜ばせるための玩具ではない。
あれら神宝そのもの、そこに凝縮された技術と時間と思い、
美しいものを生み出す活動を尊重するということ、
それらこそが豊受大御神が象徴するものではないか。

先ほど列挙した二物対比で、ひとつ重要なものが抜けていた。
「自然と人間」だ。

四季を愛で、自然を敬い、その偉大さを十分に理解した上で、
人の手を存分に加え、技術を磨き、人間的な活動を輝かせる。
自然と人間の絶妙なバランス感覚を保つこと、それを重んじることが
日本人が選択した「人間らしい生き方」であり、
日本人の素晴らしさではないか。


料理が運ばれてきた。
素材を大切にしながらも料理人の技術が光り、
目にも楽しく、味も良かった。
by npapapapa | 2014-03-09 20:26 |